はい。ただし PHITS や MCNP のような「フル輸送モンテカルロ」ではなく、 「点減衰核モデルのモンテカルロ積分」です。
ご想像のとおり、基本は点線源の物理です。1つの点線源からは球状に広がり、
逆二乗則 1/4πr² で薄まり、空気と土と壁で減衰し、
散乱の回り込み(ビルドアップ)で少し戻る ― 教科書どおりの式です。
汚染した地面は、この小さな点線源が敷き詰められたものと考えます。
知りたい点の線量率 = 敷き詰められた全部の点線源からの寄与の合計(積分)。
この積分は範囲が広く(半径400 m)、除染の形・建物・土の深さで形が変わるので
解析的には解けません。そこで「どの点線源から拾うか」を乱数で選び、
1本ぶんの寄与を計算して足す、を数千回くり返して平均します。
これがモンテカルロ積分です。寄与の大きい場所ほど選ばれやすいように
p(r) ∝ r/(r²+h²) から採っています(重要度サンプリング。
1/r² をちょうど打ち消す形)。
空間をボクセルで埋めて値を伝播させているのではありません。 「知りたい点」を先に決めて、その点ごとに独立へ上の積分を実行します。 地表マップは 60×60 = 3,600 個の評価点(各1,000本)、3D表示のときは 18×18×8 の格子点で同じ計算をします(見た目がボクセル状なのはこのため)。 値は相対値ではなく絶対値(µSv/h、H*(10))です。
1本の寄与 = 沈着量 × e^(−µ_air·r − 土壌 − 壁) × B
÷ 4πr²。µ_air は空気の線減弱係数(662 keV で 0.0093 /m、
平均自由行程 107 m)。土壌は指数深度分布(緩和質量深さ β)を
角度つきで通過した分、壁は建材の質量厚です。
光子を1個ずつ散乱させて追跡するのではなく、散乱の回り込みを ビルドアップ係数 B(µr の関数、上限つき)で近似しています。 この近似で残る「どの距離から来たか」の径方向のずれは、 PHITS 3.35 のフル輸送計算(円盤線源11半径・土50 cm・大気700 m球・ 各200万ヒストリー)との比 g(r)=0.92〜1.29 を掛けて較正しています (開けた地面・β=0・高さ1 m 基準)。
・点線源: ICRP 74 の換算係数から求めた線量率定数 0.0910 µSv·m²/(MBq·h) と 1 m で 0.1 % 以内で一致
・無限平面 1 MBq/m²: 3.15 µSv/h(H*(10)、β=0。教科書の 2.1 は量の定義が違う)
・面線源の絶対値は Saito & Petoussi-Henss (2014) の換算係数(β=0〜5 g/cm²)に深さ依存の規格化で合わせ、全点 ±0.6 % で一致。PHITS 3.35 の半径400 m 円盤計算は 3.00
・寄与リングは PHITS 3.35 フル輸送に較正済み(β=0・h=1 m で
r50=9.7 m/r90≈92 m を再現)。建物や深い浸透がある場面では近似
・規格化前の点減衰核は表面沈着で 18 % 低かった(地表面近くの散乱の簡略化)。規格化は径方向の形を変えないので、寄与リングはそのまま
・画面の µSv/h は H*(10) で、実効線量そのものではない
動いて図が出ることは正しさの証明にならない ― 外部の計算・実測と突き合わせて初めて意味を持ちます。